第4章 変化
「ねえ菅原くん。良かったらうちで夕飯食べていかない?」
「え?」
「お話するのは初めてだけど、私、前もあなたのこと見たのよ。よく菜月を送ってきてくれてるんでしょう?お礼がしたいわ。」
「あ、いや、でも…」
「お母さん!菅原先輩困ってるから!」
「遠慮しないの。ほら、行くわよー!」
こういう時のお母さんの強引さは異常だ。
一人勇んで先を行くお母さんに少し呆れながら、私は先輩に謝った。
「なんか、すいません…ご迷惑だったら今のうちに帰ってもらって大丈夫なんで。うまく言っておきますから…」
「あー…いや、せっかくああ言ってくれてるし、ご馳走になろうかな。」
「え!」
菅原先輩から出た言葉が意外で、私は驚いた。
「何してるの、はやくー!」
振り返ったお母さんが私たちを呼んでいる。
私は菅原先輩と顔を見合わせて笑ったあと、お母さんの背中を追いかけて歩き出した。