第4章 変化
駅まで来たところで、何か様子がいつもと違うことに気付く。
改札前で乗客たちが、ざわついていた。
「なんだ?何かあったのかな。」
「電車遅れてるんですかね。」
駅員の人が改札前まで出てきて、声を張り上げて状況を説明していた。
どうやら数駅先の駅で人身事故が発生したらしく、その影響で上下線ともに電車が止まってしまっているらしい。
復旧の目処がなかなか立たず、大幅にダイヤが乱れるとの事だった。
「えー、そうなんだ。困ったなあ…」
「まあ、そういうこともたまにはあるよなあ。」
菅原先輩は、あくまで冷静に、穏やかにそう言った。
「2人で話して待ってれば、すぐ来るべ!」
先輩の笑顔につられて、私も笑う。
その後、30分くらいは待っただろうか。
ようやくホームに上り方面の電車が滑り込んできた。
電車が減速している段階で、窓から見える電車内の人の密度に嫌気が差した。
思わず声に出てしまう。
「うわ、すごい混んでる…」
「結構止まってたみたいだからなあ、仕方ないな。」
さすがに苦笑いを浮かべる菅原先輩の方に顔を向け、私は別れの挨拶をする。
菅原先輩は下り方面に乗るから、お先に失礼させてもらう形になってしまった。
「じゃあ、また…」