第1章 出会い
そこにいたのは影山くんだった。
私を見つけるとほんの少しだけ会釈してくれた。
「こんなに早くから一人で練習してるんだ!」
「今日はやく目が覚めちまって…」
「そういうことってあるよね。あ、私ボール拾い手伝うよ!」
「………」
「影山くん?」
迷惑だったかなと少し心配になったところで彼が口を開く。
「昨日……菅原さんと…」
「え?ごめん、聞こえなかった。もう一度…」
「 菜月!おはよ! 」
突然の声に振り返ると、そこには菅原先輩が。
「あ、菅原先輩おはようございます!」
「菅原さんおはようございます。…ていうか、名前…」
昨日の帰り際に一度口にしただけなのに、もうずっと前からそう呼んでいたような自然さで菅原先輩は私の名前を呼んだ。
影山くんもそこが気になったようで、視線で菅原先輩に説明を求めている。