第4章 変化
「ごちそうさまでしたー!」
影山くんから遅れること、約10分。
もともと食べるのが遅い私は今日もスローペースで食事を終えた。
すっかり満腹になって、心が満たされる。
「じゃあ、行くか。」
影山くんが伝票を持って立ち上がる。
私も軽く返事をしてから、席を立った。
会計は、影山くんが出してくれると言ったけど、気持ちだけありがたくいただくことにした。
こんなに楽しいイベントに誘ってもらったうえ、ご馳走になるのはさすがに心苦しい。
「また何かあったら、そのときおごってよ。」
そう言うと、影山くんは自分の分の代金だけ出してしぶしぶ財布をしまってくれた。
上機嫌でお店を出ると、辺りはもう真っ暗になっていた。
2人で歩き出したところで、私はふいに思い出す。
今日のメインイベントのことを。
イベントに興奮しすぎて一時忘れてしまっていたけど、肝心のあの話がまだできていない。
というか、影山くんから語られていない。
「おい、聞いてんのか。」
「は、はいい!」
考え事をしていたら影山くんに声をかけられていたらしく、私は驚いて返事をした。
「まだ時間あるか?」
「うん、まだ大丈夫。」
「なら…行きと同じで歩きでもいいか?」
「私は良いよ、それで!」
行きと同じ道を今度は駅の方向へたどり始めた。