第4章 変化
それから、地元のチームと選手チームの簡単なゲームを終えたあと、選手同士のゲームが始まった。
当たり前だけど、やはり地元のチーム相手には本気を出していなかったのが、すぐに分かった。
飛び交う球の迫力が違う。
引退した選手ばかりとはいえ、さすが世界と戦ってきた人たちと言った戦いぶりだった。
インターバルのときなど、たまに隣の影山くんに視線を向けたけれど、輝いた瞳でコートを見つめる彼に、言葉なんてかけられなかった。
イベントの全工程が終了し、会場から出る段になってやっと私たちは言葉を交わす。
「すごかった…!ね、影山くん!!」
「おう!」
「バックアタックとか見られると思わなかったから感動したー…!」
「やっぱすげーな、世界と戦った人ってのは。オーラからして違う気がする。」
まあ、俺もそっち側に行くんだけどな。
いつになく興奮した様子の影山くんは、言葉を続ける。
「あ、おい。夕飯食ってくか?腹へっただろ。」
「うん、お腹空いたー。」
「何食う?」
「お肉食べたい…牛丼とか?」
私の言葉を聞いて、影山くんは軽く吹き出す。
「合宿のときも思ったけど、お前ってよく食うし、男みたいな飯好きだよな。」
「だってお肉おいしいじゃん…友達と外食するとサラダばっか食べてるけどほんとすごいなって思う。」
「女子ってそう言うもんなんじゃねーの。」
「また影山くんは私が普通じゃないみたいに言うんだから…」
「…俺は、菜月みたいに気取ってないやつの方が好きだ。」
「え…」
「お、俺も肉食いたいしちょうどいいってことだよ!おら、さっさと行くぞ!」
「あー待ってー!」
さっさと歩いて行こうとする影山くんを慌てて追いかける。
かくして、私たちの初めての外での食事は、色気の欠片もない牛丼店になるのだった。