第4章 変化
「意外と色々考えてんだな、お前って…。」
入口から少し離れた人の少ない場所まで影山くんを引っ張ってきたあと、彼はそう言った。
「考えてるって言うか…誰でも自分たちのこと悪く言われたら良くは思わないでしょ。」
「だとしても…俺はアイドルとかはともかく、スポーツをミーハーな感覚で観るやつが大嫌いだ。」
ああ、そうっぽい…
実に影山くんらしい。
「分かるよ、バレー中継の試合前とかも何でアイドル出すんだろうとか思うんでしょ?」
「思う。全く理解できない。」
バレーのテレビ中継は、私がバレーを見だした小さい頃から、試合が始まる前にアイドルのパフォーマンスが入っていて、それが定番化していた。
「何か…ああいうの入れねえと客入らないって言われてるみたいで悔しい。」
「そうだよね…私もそれは思う。でもさ、バレー好きでもやっぱ環境とかの問題で観に行けない人も結構いるんじゃないかな。」
「環境?」
「私だって、昔からバレー好きだけど1回も観にいったことないし。都心に住んでたらもっと気軽に行ってたかもしれないからさ。」
影山くんは私の言葉に何かを考えているようだった。
「もう少し大人になったら、東京まで代表の試合観にいってみたいな。」
何の気無しに言った台詞だった。
でも、真面目な影山くんは全力で私の言葉を受け止めてくれたようだ。