第4章 変化
「王子様効果か…」
「あ?王子?」
私の呟きに、影山くんが反応した。
「いや、こんなに女の人が多いのは王子様が来るからなのかなあって思って。」
「ああ、現全日本のエースのことか。」
あの人、宮城出身なんだよな、と影山くんがぼそっと言う。
そして、恐らく王子様目当てなのだろう女性ファンが周りに大勢いる中、影山くんは爆弾発言だけ何故か非常に通る声で言い放った。
「…しかし、ふざけたあだ名つけたもんだよな。何が王子だよ、本人もいい迷惑だろうに。」
異名やあだ名というものにマイナスな感情がある影山くんらしい発言なのだけれど、それを知らない王子様のファン達にはただの悪口にしか聞こえない。
案の定、周りにいた女の人たちの多くがこちらを振り返った。
王子様のファンは、あまりマナーが良くないと聞く。
皆が皆そうだとは言えないかもしれないけれど、不用意な発言は避けるに限る。
私は焦って影山くんの口を塞いだ。
「な…に、すんだよ!」
そう言って影山くんは私の手を軽く振り払った。
私は影山くんに近付いて耳打ちする。