第4章 変化
次の日は気持ちよく晴れた。
良かった。
窓から降り注ぐ日差しを見て私は微笑んだ。
昨日選んだ服に袖を通して、家を出た。
考えてみれば、これが高校に入って出会った人との初めての外出になる。
久しぶりに私服で出かけたので、何だかそわそわする。
待ち合わせた駅で私に気付いた影山くんは、一瞬驚いたような表情を見せてすぐに私から視線を逸らした。
「おはよう、影山くん」
「…おす。」
影山くんも私を見て驚いていたけど私は私で、影山くんの私服姿に驚いていた。
勝手にイメージしていた影山くんの私服そのものだったからだ。
英字のロゴが入った白Tシャツの上に濃紺の薄手カーディガン、それに細身の黒のボトムという格好だった。
スラッとした体型の影山くんにとてもよく似合っている。
「なんか私服イメージ通り!すごく似合うね!」
「なっ…!そ、そういうのは普通男が先に言うもんだろ!」
「え、そう?」
「お前もその……いつもより、かわ…」
「?」
「その…い、いつもよりでかくないか!?ヒールでも履いてんのかよ?」
影山くんが気付くとは思わなかったので驚いた。
確かにほんの少しだけ高さのある靴を履いてきた。
「まあ、完全にぺたんこではないけど…そんな大した高さじゃないよ。」
「お前は危なっかしいんだからいつもぺたんこ靴履いとけ!!」
「うー、そんな怒鳴らなくても…。」
そう言って二人で歩き出した直後に、何もないところで躓いた。
影山くんがしっかり支えてくれたから転ばなかったけれど。