第4章 変化
午後練が始まる前、部室では最近ハマっているテレビ番組について熱く語られていた。
私は掃除をしながら皆のその会話に耳を傾ける。
「その芸人がさ、めっちゃ面白かったのなんのって!!」
田中先輩の話で皆がひとしきり笑ったところで、菅原先輩が私にも話をふってきた。
「菜月は最近なんかハマってる番組とかある?」
「えーと私は…」
私は、深夜に放送している人気男性アイドルのバラエティ番組を挙げた。
「毎回ひとつお題があって、それに沿ってメンバーは自分が主役の映像を撮ってくるんです。で、それに対して一般女性が評価付けしてメンバーをランキングするっていう。」
「あ、俺それ知ってるぞ!ちょっと見たことある!」
田中先輩が私の説明を聞いて、反応してくれた。
「菜月はそのグループ好きなんだ?」
菅原先輩が再び質問してくる。
「いや、特にそういうわけではないんですけど…その一般女性の評価コメントがメンバーが撮ってきたVTRに合わせてツッコミみたいに入るのがすごい面白いんですよ。」
「結構ズタボロに言われてるよな、アイドルなのに。」
「そうそう、コメントが辛辣すぎて。それが面白くて毎回見ちゃってます。」
内容を知っている田中先輩がいてくれたおかげでシラケるような事態にはならなかった。