第4章 変化
適当な空き教室に入り、机をふたつくっつけてから席についた。
「なんかごめんなさい、貴重な昼休みを…」
「ごめんは無し!どうせならありがとうって言ってもらえた方が嬉しいよ。」
「そ、そうですよね。ありがとうございます…!」
お礼を言ってから先程借りてきた数学の参考書を開く。
「ここなんですけど…」
「あー、これなー。混乱するよな。俺も嫌だった。」
そうやって共感を示してくれた後で、丁寧な説明が始まる。
先生より上手なんじゃないかと思うくらいの解説に、私は感動した。
「おおー…!すごいです…!」
「まあこれでも一応進学クラスだからな。」
「菅原先輩、大学生になったら家庭教師のアルバイトとか絶対向いてますよ!!」
「あはは…そうかな?何か照れるな。」
照れて笑う菅原先輩は、まんざらでもなさそうだ。
先輩ならきっと人気の先生になるだろう。
生徒のお母さんにも気に入られちゃうんじゃないかな。
「あ、あの…」
「ん?」
「もうひとつだけ、いいですか…?」
「どんとこい!菅原先生に任せなさい!ひとつと言わず、ふたつでもみっつでもいいよ。」
先輩のお言葉に甘えて、その後も
数ヶ所、分からないところを教えてもらった。
本当に冗談は抜きにして、家庭教師に来てもらいたいと思うくらい充実した勉強時間になった。