第4章 変化
合宿前から行っていた影山くんとの勉強は、とりあえず中間テストの前まで続けられることになっている。
もうあと2週間もしないうちに高校で初めての大きなテストだ。
部活も、原則としてテスト3日前からは停止になる。
そういえば影山くん、部活のない日曜日を私と出かけて棒にふっても平気なのかな。
今朝も朝練前に一緒に勉強したけれど、赤点を必ず回避できるような状態まで押し上げられたかと言われると自信を持って頷けない。
かく言う私も、人のことばかり言ってはいられなかった。
休んでいた2日間の分のノートは友達が写させてくれたものの、やっぱり自分が授業を聞いたわけではないので、何となく理解できた気がしない。
私は昼休み、勉強道具を持って図書室へ向かった。
教室は騒がしいので勉強には向かない。
テスト前に分からないところは潰しておきたかった。
参考書の棚まで行って書籍を物色していると、同じ書棚の列に誰かが入ってきた。
「あ、菜月…!」
菅原先輩が驚いた様子で近付いてくる。
そして、小声で私に話しかける。
「心配したぞー。もう平気?」
会う人会う人、皆に同じことを言われて、心配かけてしまったんだなあと改めて思う。
今朝は朝練のときに菅原先輩と話す機会がなかったため、今、久しぶりに会話した。
「はい、心配かけてごめんなさい。」
「…もしかして、休んでる間に分からないところできちゃった?」
菅原先輩は私の抱えている数冊の参考書を見て言う。
「あー、はい。実はそうなんです。」
「じゃあ俺が勉強見てやろっか?」
「え、でも先輩も今参考書とか見に来たんじゃ…」
「いいからいいから。ほら、空き教室探そう。」
菅原先輩に背中を押されて、図書室のカウンターまで向かう。
貸出手続きをしてから図書室を出た。