第4章 変化
「それ…一緒に行かないか。」
すっかりバレーフェスのことで頭が一杯になったところで、影山くんが言葉を続けた。
「え。」
「お前に…話したいこともあるし。」
話したいことって。
完全にあのことではないか。
バレーフェスは魅力的だし、影山くんとも元には戻りたいけど、気まずい話はしたくない。
そんな都合の良い感情が行ったり来たりする。
でも、このまま逃げていてもどこかしこりを残すことになりそうだと感じたので、私はチケットを受け取ることにした。
「ありがと。今度の日曜なんだ!楽しみだね。」
そう言うと、影山くんは俯いていた顔を上げて救われたような表情を見せた。
やっぱり影山くん、分かりやすいよ。
それを見て、ついクスリとしてしまう。
「なんだよ。」
「ううん、何でもない。明日は朝、行くからね。」
「!……ああ。」
影山くんは、少しだけど笑ってくれた。
私は、バレーフェスの日に影山くんから何が語られるかは別にして、それまでの間はいつもと変わらないように過ごそう、そう決意した。