第4章 変化
久しぶりに帰り道を一人で辿る。
暗くて結構怖かった。
怖いと思うゆえの錯覚なのかもしれないけど、さっきから後ろをついてきている人がいる気がする。
そういえば、ここ最近のホームルームで通学路に現れる変質者に関する注意喚起がされていなかったか。
試しに、歩く速さを遅くしてみたりしたものの、一向に追い抜いてもらえる気配はない。
でも確実に足音は聞こえる。
本格的に怖くなって、でも後ろを振り返る勇気もないので今度は走る。
後ろから走る音が聞こえた。
血の気が引いて、全速力で走る。
嫌だ、怖い。
誰か助けて…!
私を追いかけてきている人物は物凄く俊足で、あっという間に追いつかれてしまった。
手首を掴まれて、止められる。
「嫌っ…!!」
やばい、防犯ベル。
殺される。
私は、空いている方の手でカバンにつけていた防犯ベルのピンを引っ張った。
耳をつんざくような音が辺りに響き渡る。
そのブザー音の中で、よく知る声が目の前から聞こえてきた。