第3章 合宿
「あ、菜月!今から風呂…」
菅原先輩は、俯いたままの私に異変を感じたのか、途中で口を噤んでこちらに近付いてきた。
「…どうした?何かあった?」
「大丈夫です、何でも無いです。」
顔は上げずに、そのまま答える。
早く部屋に戻りたくて、菅原先輩に挨拶をして先輩の横を通り抜けようとした。
けれど、菅原先輩に手首を掴まれて歩みを止められてしまう。
「…泣いてるのに放ってなんておけないよ。別に嫌なら話さなくてもいいから、落ち着くまで一緒にいよう。」
影山くんとあんなことがあった後で、菅原先輩に甘えるのはどうなんだろうと思っていたけど、優しい言葉にほだされてしまう。
泣いているのをこれ以上誰かに見られるのも嫌だったし、二人きりで座って落ち着けるような場所もすぐには思いつかなかったため、結局二人で私の部屋に戻ることにした。