第3章 合宿
「ん…」
思わず目を閉じる。
壁についていた影山くんの手が私の両手首に移動した。
そのまま、手首も壁に縫い付けられる。
完全に身動きできなかった。
思考も停止し、私はすっかり影山くんのされるがままになっていた。
怒っていたから、もっと乱暴にされるのかと思っていたけど、そんなことはなかった。
触れるだけのキスが続く。
とても、長く感じた。
ゆっくりと、影山くんが私から離れた。
まともに目が合う。
「なん、で…?」
思っていることがそのまま言葉になって唇からこぼれ出た。
影山くんがこんな事をするなんて。
私から視線をそらし、俯いた影山くんはぼそっと呟いた。
その言葉に、私はショックを隠せなかった。
「…なんとなく…」