第3章 合宿
と、その瞬間。
影山くんのもう一方の手によってその退路も絶たれる。
顔が近くて、どうしたらいいのか分からない。
何に怒っているのか分からないけれど、どうせならいつものように怒鳴って欲しかった。
体育館を出てから何も話してくれないことが辛い。
一応私、女子なんだけどな。
この仕打ちはちょっと…
影山くんの表情を恐る恐る覗えば、先程までの鋭いものから切なそうな表情へと変化していた。
それを見て、もう一度声をかけようと少し顔を上げた時だった。
影山くんの体が更に私に近付き、完全に壁と挟まれる形になった。
そして次の瞬間には、唇が重なっていた。