第3章 合宿
その日は各校それぞれで練習を行い、明日の練習試合に備えることとなった。
烏野と音駒は、一昔前まで監督同士に繋がりがあり、よく互いに遠征を行い、練習試合をしていたらしい。
とても良い勝負になることが多いこと、お互いの学校の名前にカラス、ネコという響きが入ることから、この2校の勝負は「ゴミ捨て場の決戦」なんて言われていたそうだ。
今日の練習中に清水先輩からこの話を聞き、明日の試合がより楽しみになった。
夕食を終え、お風呂に向かおうとしていたら、体育館からボールの音が聞こえてきた。
まだ誰か練習してるんだ…
そう思い、体育館の中を覗けば、そこには今日出会ったばかりの黒尾さんがいた。
私に気付き、笑顔を見せてくれた。
「よう。」
「まだやってたんですね。ご飯食べてないんじゃないですか?」
私が尋ねると、黒尾さんは、まあな。と答えた。
あれだけ動いた後でご飯も食べずにまだ練習。
食いしん坊の私にはとてもできそうもない。
「明日の練習試合、楽しみですね。」
「ああ。今日隣のコートから烏野の様子見てたけど、面白いチームだよな。」
「はい!」
自分が褒められた訳でもないのに、チームが褒められると嬉しくて、何だか照れてしまう。
そんな私を見て、黒尾さんは、またニヤリと笑った。