第3章 合宿
合宿4日目。
何も成長がないどころか、この合宿で余計問題を増やしている私を尻目に、皆はどんどん上達していた。
とうとう明日は合宿最終日。
他校との練習試合が待っている。
わくわくする気持ちは前回と変わらないけれど、いかんせんコートの中にいる人の大多数と最近色々ハプニングがあるため、目のやり場に困る。
烏養さんの、休憩!という声が響き、私は反射的に顔を上げた。
ドリンクのボトルを抱えて、コートサイドに戻ってくる一人ひとりに渡していく。
「…どうも。」
月島くんは、いつもと変わらない感じで私からドリンクを受け取った。
そんな彼を、無意識のうちにじっと見てしまっていたのか、視線に気付いた彼は体ごとこちらに向けてきた。
「………何。」
「え?!な、なんでもないよ!」
いざこちらを向かれるとドギマギしてしまい、私は他の人にもドリンクを配るために月島くんに背を向けた。
再び練習が始まったところで、清水先輩に声をかけられた。
「菜月ちゃん、ちょっとお遣い頼んでもいいかな。」