第3章 合宿
「ちょっとちょっとー。こんな公共の場でいちゃつかないでくれる?」
ロビーにやってきたのは月島くんだった。
影山くんは、月島くんがやってきたのと同時に私に伸ばしかけていた手をものすごい勢いで引っ込めた。
手早く自販機で飲み物を買って、月島くんはこちらを振り返る。
「そういうのは部屋で二人きりの時にやんなよ。マネージャーの部屋、夜一人なんでしょ?ちょうどいいじゃん。」
私と影山くんが真っ赤になって押し黙っていると月島くんは更に続けた。
「まあ、影山が我慢できなくて手出しちゃって、それがバレて部活に来られなくなっても僕は知らないけどね。」
私が恥ずかしさのあまり口をパクパクさせているのに気付いたのか、影山くんが月島くんに反撃してくれる。
「てめぇ…女子の前で何言ってんだよ!いつもいつも茶化しやがって!」
「いつもいつも?からかわれるようなことしてるのは君じゃん。」
「俺がいつ…!」
「じゃあさ、さっき、マネージャーに何しようとしてたわけ?」
「………っ!」
月島くんが一歩、影山くんとの距離を詰めた。
「ほら、答えない。言えないようなことしようとしてたんじゃないの?」
「ちっ……言ってろ!!」
そう言って影山くんは行ってしまった。
部屋でまた月島くんと顔を合わせるだろうに、大丈夫なのかなと心配になってしまう。