第3章 合宿
次の日の朝、私は菅原先輩のジャージを持って食堂へと向かった。
食堂に着き、彼の姿を探す。
菅原先輩は、もう大地さんたちと席についていた。
「おはようございます、あの…これ、昨日はありがとうございました。」
「…あれ、スガ、ジャージ着てないと思ったら水沢さんに貸してたのか。でもなんで?」
私が先輩に渡したジャージを見て、旭さんが呟く。
ジャージを受け取って、菅原先輩が笑った。
「役に立てて、良かった。」
その爽やかな笑顔に、私の視線は釘付けになる。
「旭、これは俺と菜月だけの秘密だから!」
な、菜月!
そう言って今度は旭さんにいたずらっぽく笑った。
そして、私に耳打ち。
「…で、ちゃんと鏡見たの?」
「は、はい…恥ずかしかったです。」
「でも、ほんとよかったよ。見たのが俺で。これからは気をつけろよ?」
「はい…!」
「じゃあ、この話はおしまい!菜月も一緒に食うべ!」
菅原先輩の言葉に、私も笑みがこぼれた。
その日の朝食は、菅原先輩にせっかく誘ってもらったので、そのまま先輩たちのところにお邪魔して食べた。
菅原先輩は食事の仕方がとても綺麗で、育ちの良さを感じさせた。
やっぱり、数日間だけでも寝食を共にすると初めて知ることもたくさんあるなあ。
そう改めて感じた朝だった。