第3章 合宿
「菅原先輩、嬉しいんですけど先輩のジャージ濡れちゃう…」
「そんなこと、別にいいよ。それより…」
菅原先輩はやっとこちらに顔を向けてくれた。
「ここに来るまでに俺以外のやつと会った?!」
「い、いえ、誰にも会ってないですけど…」
そう答えると、菅原先輩は私の前でしゃがみこんでしまった。
そして心底安心したように、ため息とともに言葉を漏らす。
「よ、良かったー…」
「お風呂掃除してたらこうなっちゃって。部屋にしか着替えないし急いでたんです…」
「そっか…」
菅原先輩はゆっくり立ち上がった。
「なあ、お風呂出るとき鏡見なかったの?」
「はい、急いでたんで…」
「部屋戻ったら確認してみ?何で俺が他のやつに会わなかったか聞いたのか分かると思うよ。」
「は、はい…」
「ほら、風邪ひいちゃうから早く行きな。」
「はい、ありがとうございました!!」
菅原先輩と別れて、私は部屋へと急いだ。
「ほんとに仕方ないやつだな……。色、分かっちゃったじゃんか…。」