第1章 出会い
力強く私が答えると、日向君は飛び上がって喜んだ。
「よっしゃー!!マネージャーゲットーっ!!!」
日向くんの大声に、片付けを終えた皆がなになにー?と集まってくる。
「 水沢さん、マネージャーやってくれるらしいです! 」
「おーまじか!清水も喜ぶよ、ありがとうな!」
大地さんがほっとしたような表情で言う。
「俺も嬉しい。…あ、ところで 水沢さんって家どこらへんなの? 」
「あ、えーと、電車で2駅のところです。」
「そっか、じゃあ駅まで歩くよな。ちょっと待ってて!俺すぐ着替えてくるから。送ってく。今日は清水もいないしな。」
すっかり暗くなった外を気にして、菅原先輩がそう申し出てくれた。
「え、でもそんな悪いですし」
「大丈夫。先輩の言うことは聞いとくもんだぞ!」
そう言って部室へ走って行ってしまった。
そんな菅原先輩を見て、田中さんたち2年生がまた騒いでいる。
「うわー、スガさん抜け駆けだー!」
「完全に出遅れたぞ、龍!」
「ああいうことがさらっとできるのがスガの強みだよなあ…」
いつもは2年生を窘めるのであろう大地さんまで、二人に同調している。
「………」
「影山?」
「どうしたんだよお前、具合でもわりーの?」
「うっせえ日向ボゲェ!ちょっと黙ってろ!!」
「なんだよ、元気無さそうだったから心配してやったんだろー!?」
皆が思い思いに騒いでいると、あっという間に制服に着替えた菅原先輩が戻ってきた。
「な?はやかったべ?」
そういってにっこりと笑った。
その笑顔にみとれていると、
お疲れ!さー、帰るぞーと言って体育館を出て行ってしまう。
「あっ…待ってください!皆さんお疲れ様でした!また明日。」