第3章 合宿
「清水が帰っちまったから、心細いだろ。」
隣を歩く大地さんが言う。
頷くと、また言葉を続けた。
「男ばっかりで不安なことも色々あると思うけど、何かあったら遠慮なく頼ってくれていいからな。」
その笑顔に、とても安心する。
と、同時にそれによって本音が漏れてしまった。
「私…最近自分がフワフワしててすごく嫌なんです。やるべきこともまともにできてないっていうか…」
「それってさ。スガとか影山が原因?」
「えっ!!!」
大地さんがまともに言い当ててきたので動揺してしまった。
これではそうですと言っているようなものだ。
「分かるよ、毎日お前らみてれば。」
「すいません……」
「一度さ、別のことにも目を向けてみたら?」
「別のこと?」
話していたら、もう目の前に自分の部屋が迫っていた。
部屋の前で立ち止まり、大地さんが再び口を開く。
「そう。例えば……俺のこととか?」
これじゃあ別のことってより、別のやつか。
そう言って大地さんは笑うけど、
さっきの表情は真剣そのものだった。
私は大地さんの言葉をまともに受けてしまい、頬が熱くなるのを抑えられないのだった。