第3章 合宿
その夜、お風呂に入り終えて自分の部屋に戻ろうとしているところで、ロビーでタバコを吸う烏養さんを見つけた。
声をかけようとした時、ちょうど消灯時間になったのか、周りの灯りが一斉に消える。
驚いて、思わず烏養さんの元へ走る。
「烏養さんー!!」
「…ああ、水沢。風呂あがりか。」
私に気付いた烏養さんはまださほど短くなっていないタバコをもみ消し、携帯灰皿に捨てた。
私が来たから消してくれたのかな。
それを見て私は、失礼だけど見た目にそぐわず細やかな人なんだなあと改めて思う。
初対面の印象が悪かったであろう私や影山くんのことも、自分にも否があると言って気にしていないようだし、普段のコーチとしての働きも申し分ない。
対戦校のことや、練習法など様々なことを調べてきては練習に取り入れている。
私は、烏養さんのことをコーチとしても大人としても、とても尊敬していた。