第3章 合宿
合宿所に到着してからは、荷物の運び入れやドリンクの準備などで忙しく、最近のドキドキは鳴りを潜めていた。
お昼休憩に入ったときも、私はまだ仕事が片付いていなくて、きりのいいところまでやってしまおうと夕飯の食材の入ったダンボールを運んでいた。
あともう少し…
荷物を持って階段を何往復もしたのでさすがに疲れてきた。
調理室のある階までは後少しだ。
階段の中程で一旦荷物を下ろして休んでいたけど、気合を入れてまたダンボールを抱える。
その時。
「重そうだな、貸せよ。」
そう言って私を見つけた影山くんが階段を上がってきた。
影山くんの登場に焦った私は何とか断る理由を探す。
「あ、いや、あとちょっとだし大丈夫!ご飯行かないと時間なくなっちゃうよ!」
「いいから貸せよ、顔色悪いぞ。」
影山くんがダンボールに手をかけた時、指が触れた。
心臓が跳ねる。
「わっ…!!!」
それと同時にダンボールにかけていた手も離してしまった。
ついでに階段に乗せていた足まで踏み外す。
やばい、落ちる…!
「菜月!」