第3章 合宿
「おい、おい!着いたぞ、起きろって!!」
影山くんの声で現実に引き戻された。
ここは……そうか、バス…
そう思って体を起こそうとすると、今まで私が体を預けていたものの正体に気付く。
「か、影山くん!!!」
「やっと起きたのかよ…」
私は盛大に影山くんにもたれて眠っていたらしい。
しかも、肩どころではなく、胸のあたりまでずれ込んで。
「ご、ごめん!!重かったよね。」
「別に…俺も途中まで寝てたし。起きたらお前が思いっきり倒れてきてたからビビったけどな」
影山くんが目を伏せて言う。
それを聞いて、斜め前に座っていた田中先輩が、からかい顔をこちらに向けた。
「おうおうおう、お前ら朝から見せつけてくれちゃってよおー。何が起きたらビビっただ影山!お前も寝てる間、幸せそうにマネージャーに寄りかかってたくせに!!そこかわれ、この野郎!」
「「えっ……//」」
田中先輩の言葉に二人で赤くなる。
そして、近くにいた山口くんが私達にとどめをさした。
「二人で仲良く寄り添って寝てたよ。」
何だって1日目の出発の時点でこんなことに。
余計意識してしまう事態を自分で引き起こしてしまった。
バスから降りたあと、赤くなった顔はそのままに、影山くんが声をかけてきた。
「菜月、お前他のやつの隣になったとき絶対寝るんじゃねえぞ。」
「え、うん。」
先程の事態を受けて、影山くんの言う通り極力頑張らねばと思ったけど、帰りのバスでも絶対疲れて寝てしまう気が今からするのだった。