第8章 恋のキューピッド
私はあれからまた彼に会えないかなと
マルちゃんに会いに行くついでにあの男の子を捜していた。
でもいつまでたっても会える事は無かった。
私がわかるのは音駒の制服を着ていたから
そこの生徒だって事だけ。
「マルちゃんおはよ。今日もあの男の子居なかったね。」
いつもの様にマルちゃんとお話する。
「香坂?何座ってるの?」
声がする方を向くと中学の同級生の夜久くんが立っていた。
家が近所だから休みの日にたまに会うんだよね。
「夜久くんおはよ。朝練は?遅刻じゃないの?」
「朝練今日は休み。猫と遊んでたのか。
相変わらず猫好きなだなぁ。」
「悪い?猫じゃなくてマルちゃんだよー。」
「……その猫、マルって言うの?」
「うん、私がただそう呼んでるだけだけど。」
私がそう話すと夜久くんは慌ててスマホを取り出して弄り始めた。
「香坂コイツ知らない?」
私に徐にスマホを見せてきた夜久くん。
スマホの画面には私が捜していた男の子が写っていた。
「!知ってる!この男の子、夜久くんの知り合いだったの?」
「知り合いっていうかバレー部の後輩。」
「そうなんだ!あの高身長だもんね……
な、名前は?」
「灰羽リエーフ。」
「リエーフくん!?わぁ、格好いい名前!
……そっか、夜久くんの後輩だったのかぁ。」
私は彼の情報が少しでもわかって嬉しくなった。
「なぁ、香坂明日もこの時間にココに居るんだよな?」
「うん。マルちゃんと遊んでから学校行くから。」
「ならいいや。猫と遊びすぎて遅刻するなよー?」
夜久くんはそう言って行ってしまった。
「夜久くんは覚えが悪いな。
猫じゃなくてマルちゃんなのにね?」
私は少しマルちゃんと遊んでから学校に向かった。
次の日いつものようにマルちゃんに会いに
早めに家を出る。
いつもマルちゃんが居る場所には
見覚えがある後ろ姿。
リエーフくんだ!!
確信した私はすぐに彼の元へ駆け寄った。
「り、リエーフくん!!」
「オネーサン!また会えたね!」
その声に反応したリエーフくんは
私の方を向いてニィっと笑いかけその瞬間私の胸が高鳴った。