• テキストサイズ

藤堂家の事情【R18】

第1章 入れ替わるメイドの事情


ランチの時間になり、慌ただしく給仕が始まる


「今日は花が飾ってありますね」

「はい、樹里奈が持ってきたので・・・」

「樹里奈が?」

「はい・・・源に摘んでもらったそうです」

「源に?」

「はい」

「ほぉ・・・」

黒刃はふむ・・・と少し考えると樹里奈を伺う

仕事もテキパキとこなし、屋敷の使用人たちともうまくやっているようだ


昼食が終わると樹里奈を呼び出した


「いかがですか、この屋敷の仕事は?慣れましたか?」

「はい、みなさんよくしていただいているので・・・」

「そうですか・・・来週で研修期間が終わりますね」

「はい」

「期待していますよ?」

「黒刃」

「はい、理人様」

「樹里奈にプレッシャーを与えるのはやめろ」

「わたくしは別に・・・」

「いいんだ、樹里奈。もう戻れ」

「は、はい。失礼します」


樹里奈が部屋から出て行くと黒刃が大きなため息をつく


「あいつも同じだ。何も期待するな」

「・・・御意」




・・・・・____________


樹里奈は困惑していた

なぜこんなにいいお屋敷なのにみんなやめてしまうのか?

もしかしたら試用期間が終わったら、急に仕事が増えるとか?
みんな急に冷たくなったりするとか?

う~ん・・・と考えてみるけど答えは見つからなかった。




「ねえ、梅さん・・・」

洗濯し終わったタオルを畳みながら樹里奈が尋ねる

「なぁに?」

「なんで今まできたメイドさんはやめちゃったんですか?」

「・・・」

「だってみんなこんなにいい人たちなのに・・・」

「・・・」

「梅さん?」

「あ、えぇっと、そうね・・・なぜかしらね・・・」

「私、色々考えてみたんですけどわからなくって・・・」

「・・・明日で試用期間もおしまいね」

「はい」

「樹里奈ちゃんがいなくなったら、寂しくなるわ・・・」

「梅さん?」

「いえ、私ったらやぁね、これじゃあ樹里奈ちゃんが辞めちゃうみたいよね」

「梅さん、私・・・」

「この屋敷には暗黙のルールがあるの・・・
それは試用期間が終わればわかる・・・
それを受け入れるか受け入れないかは樹里奈ちゃん次第なの・・・」

/ 95ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp