第2章 暗黙のルール
樹里奈が部屋に戻るとすぐに黒刃が訪ねてきた
「本日は、特別な準備をしていただく必要があるので早めにお呼びしました」
「特別な準備・・・ですか?」
「ええ・・・今夜は特別な夜ですからね」
黒刃は意味深な笑みを浮かべるだけで何も説明しようとしなかった
「では、まず湯船に浸かってください。
躰をゆっくりと温め、清めてきていただけますか?」
「はい」
「ベットの方に本日の服を用意しておきます」
黒刃の有無を言わせない言い方に樹里奈は大人しく従うしかなかった
湯船に浸かると、いつもとは違う香りが漂っていた
湯の色もよく見ると綺麗なレモン色だ
「ん~、いい香り・・・」
柑橘系の香に薔薇のような甘ったるい香りもする
お湯はとろり、と樹里奈の肌に馴染む
「ん・・・気持ちよすぎてのぼせそう・・・」
樹里奈は躰が温まると、いつもより丁寧に躰を洗い、再び湯に浸かった
「・・・そろそろ、おあがりください」
黒刃の声がかけられ、浴槽から出る
バスタオルを胸から巻いて部屋に戻る
「ずいぶんお気に召されたようですね」
「はい・・・とても気持ちのいいお湯でした」
「・・・そうですか・・・それは、なにより・・です」
黒刃は満足そうな笑みを浮かべると樹里奈をベットまで連れてくる
「では、これにお着替えください」
昨日と似たようなベビードールドレスだが、胸から大きなスリットが入り、他の下着は用意されていなかった
「あ・・あの・・・」
「なにか?」
「下着・・は?」
「ああ、本日は必要ありません」
「そう、ですか・・・」
白いたっぷりめのフリルが付いたベビードレスはまるで・・・
「花嫁衣裳みたいですね」
黒刃が樹里奈がベビードレスを着終わると言った
白いベビードレスの隙間から、ピンクの乳首がうっすらと透けて見える
合わせは少し動けば樹里奈の秘部がチラリとのぞく
「よくお似合いですよ」
黒刃はピンクの飲み物を持ってきた
「これは・・?」
「飲んでください。必要ですので・・・」
小さなグラスに入ったそれは光にあたると紫色にも見える
「契約書にサインはされたんですよね?」
「はい」
「よろしいんですね?」
「はい」
「ではそれを飲んだら、通路を通ってお越しください」