第1章 入れ替わるメイドの事情
庵に渡されたモンブランのタルトをはむっと三口で食べ終わる
「ん、美味しい。」
それだけ言うとまたキッチンへと戻る
「ったく、もっと味わって食えっての」
「おい、もういいぞ」
「あ、はい・・・」
「お前も食いに行って来い」
「あ、はいっ」
樹里奈は要に木べらを手渡すと元の場所へと戻っていった
樹里奈が戻ると梅さんと庵が既に食べ始めていた
「おっせぇよ」
「すみませんっ」
「ほらほら、紅茶いれたわよ」
「ありがとうございます」
「普通、下っ端のお前の仕事だろ」
「そうですよね、梅さん、すみませんっ」
「いーのよ、さ、召し上がれ」
「はいっ、いただきますっ」
タルトの上に綺麗なメレンゲが乗っていて、その上にモンブランが綺麗に飾られていた
「ん~っ、美味しいっ・・・これ、おいしぃよぉっ」
樹里奈が庵をキラキラした眼で見つめる
「ふっ、だろぉ。俺様のデザートは天下一品なんだよ」
「ほんと、お上品な甘さで美味しいわよ、庵くん」
「さすが天才パティシエっ」
「樹里奈、お前が言うとなんか軽く聞こえるんだけど」
「ね、これきっと源さんも気に入るよ」
「あいつ甘いもん苦手だからなぁ」
「私持って行ってみる」
樹里奈は自分の分をはむはむと平らげお皿を片づける
「あ、洗物私がしますから置いといてくださいね」
「あ、おい、ちょっと・・・」
樹里奈は源の分をバスケットに入れると紅茶と共に庭へと向かう
「嵐みたいなやつだな・・・」
「ふふ、ほんとねぇ・・・」
「源さ~んっ」
「またおまえか・・・」
「そ、また私です。庵くんのおやつ持ってきたの」
「ああ、サンキューな」
「ここで食べる?」
「ああ、ここでいいよ」
樹里奈は枕木の上にハンカチを広げるとそこに紅茶とタルトを用意する
「・・・」
「どうぞ」
「お前、そんなとこに座ると服汚れるぞ」
「大丈夫だよー、これくらい」
「女はこうゆう泥とか汚いとこ好きじゃないだろ?」
「そう?私は別に気にならないけど・・・」