第2章 暗黙のルール
樹里奈はペコリと黒羽に頭を下げる
「・・・別に」
樹里奈は微笑むと黒羽の部屋を出た
「・・・掻っ攫えるのなら攫って屋敷を飛び出したいと私が思ったくらいですからね・・・」
黒羽の独り言は樹里奈には届かない・・・
・・・・・・________
樹里奈は源のところへと来ていた
「・・・源さん?」
小屋を覗いてみても源の姿はない
キョロキョロと庭を見回してみると、温室の掃除をしている源がいた
「源さ・・・」
と呼びながら駆け寄ろうとした時に、源がホースを持ちながらこちらを振り返った
「きゃぁ~っ」
ホースの水を頭から樹里奈はかぶってしまった
「げっ・・・樹里奈っ・・・わりぃっ」
源はホースを捨て、樹里奈の元に駆け寄る
「すまない、気が付かなかったんだ・・・
大丈夫か?」
樹里奈の髪の毛を優しく避けてやる
「ん~・・・私がいけないの・・・ごめん・・・」
「ちょっと待ってろ」
源は樹里奈の額にちゅっとキスをすると、ホースを片づける
戻ってくると樹里奈を抱き上げ、小屋へと向かう
「源さん、歩けるってば・・・」
「い~の、俺が悪いんだからこれくらいさせろ」
小屋につくと樹里奈を降ろす
「今日は来る予定なかったろ?どうした?」
「うん・・・そうなんだけど・・・
契約の事迷ってて・・・」
「あ~・・・そうか・・・
俺のシャツでよければ着替えるか?」
「うん・・・ありがと」
樹里奈が源Tシャツを着るとチュニックのようになった
「・・・いいな、それ・・・」
源が満足そうに樹里奈を抱きしめる
源の汗臭い男らしい匂いが樹里奈を包む
「っと、わりぃ、汗臭いな・・・」
慌てて躰を離す源に樹里奈はそのTシャツを掴み縋りつく
「樹里奈?」
「源さ・・・」
樹里奈から源の唇に重ねる
「ん・・・、どうした?樹里奈・・・」
源も樹里奈の頬を両手で包み、キスを重ねる
そして樹里奈を抱き上げるとそのまま膝の上にのせ、ソファーに座る
「・・・何考えてんだ?」
樹里奈をぎゅっと抱きしめ、その逞しい腕に閉じ込める