第2章 暗黙のルール
2人でシャワーを浴び、身支度を整えると樹里奈は黒刃の元へと向かった
「・・・樹里奈です」
ノックをした後告げると静かにドアが開く
「入ってください」
黒刃の部屋は整然としていて、余計な物は置いていない雰囲気だった
「こちらにかけてください」
黒刃に言われ小さなテーブルにある椅子に腰を降ろす
「どうぞ」
黒刃がテキパキと紅茶を入れてくれた
口に含むとハーブの香りが鼻に抜けてとてもおいしい
「・・・要は抑制できたようですね・・・」
ごほっと紅茶を噴く
「・・・はしたないですよ」
「すみませんっ」
「この屋敷で誰かに呼ばれるという事はそうゆう時だけですからね・・・
わかってきたでしょう?」
「はい・・・なんとなく・・」
「まだこの屋敷にいるという事は契約するつもりなのですか・・・?」
「えっと・・・あの・・・」
「誰かに頼まれて契約しては後悔しますよ・・
おそらくはあなたの一生を左右する決断になるのですから・・・」
「・・・」
「ただ・・・あなたの事は理人さまもお気に召しているようですし・・・できれば残っていただきたいというのが本音です・・・」
「理人様が・・・?」
「ええ・・・夜伽にあまり積極的ではない方ですが、貴方の事は抱きたいとお思いなのでしょう」
「それは・・・」
「しかしながら、契約によれば肉体関係を持つ使用人たちと恋愛感情を抱いてはいけないという規則があるのをご存知ですか?」
「・・・・」
「おそらくあなたは好意をもって使用人たちと体を重ねているのでしょう・・・それは悪い事ではありません・・・
しかし、貴方は契約によってここの使用人たち誰にでも抱かれなければなりません・・・そうゆう存在でなければならないのです
一人に絞ることはできない・・・これはいつかあなたを苦しめる事になるでしょう」
「黒刃さん・・・」
「きっと源も要も・・・いつか後悔する日が来るのかも・・・しれませんね・・」
黒羽は少し悲しそうに微笑む
「でも彼らもこの屋敷に留まる他ない理由があるのです・・・
もし、万が一、貴方が契約をすると決意したならば、ここの人間とは結ばれることはない事を肝に銘じておきなさい
・・・・私からは以上です」
「あの・・・黒刃さん」
「なんですか?」
「ありがとうございました」