第2章 暗黙のルール
「あ、黒刃さんもお水どうぞ」
「・・・私・・・ですか」
「あ、はい・・・欲しいかな・・と思って」
また黒刃と理人は目を合わせる
「すみません、余計な事して・・・」
「いいえ、ありがとうございます」
黒刃は笑顔で水の入ったグラスを受け取り、ゴクゴクと一気に飲み干す
「・・・・樹里奈」
「は、はいっ」
「お前、今日から俺の側につけ」
「へっ?」
「そうですね、樹里奈なら理人様の側に置いても悪くありません」
「え?え?」
「容姿も・・・いい」
理人が舐めるように樹里奈を見る
「あ、あの・・・ご主人、様・・?」
「ふっ・・・お前、煽ってんのか?」
「え?きゃっ・・・」
理人が樹里奈の腰を引き寄せる
「・・・躰のラインもいいな・・・」
撫でるように樹里奈の躰に手を滑らせる
「ひゃっ・・・んっ」
「感度も・・・いいのか?」
理人が樹里奈の耳元に囁く
「んっ・・・ご主人、様ぁっ」
「くっくっく・・・理人様、戯れがすぎますよ」
「樹里奈・・・俺の側にいてくれるな?」
「は、はい・・・っ」
「よし・・・」
理人は満足げに頷くと樹里奈を手放す
「樹里奈、顔が赤いですよ」
「だ、だって・・・」
「仕事は今まで通りしていただいて・・・ああ、でもパートのメイドに任せられる事は任せるようにしてください。
あなたの今日からの仕事は主に理人様の身の回りのお世話になります」
「ご主人様、の・・・」
「そうです。私と共にご主人様が快適にお過ごしいただけるようサポートするのです」
「は、はいっ」
「ご主人様のいう事は絶対ですよ」
「はい、わかりました」
「・・・期限は一週間です。
それで契約するかどうか決めてください。」
樹里奈に契約書を渡す
「ご主人様と主従関係を結ぶ契約書ですので慎重に検討してサインしてください」
「ペンならここにある。今、サインするか?」
理人がニヤニヤと笑いながらペンをくるくると回す
「少し・・・考えます」
「そうしてください。契約したら取り消すことはできませんからね」
黒刃がニッコリとほほ笑む