第7章 理性の切れる5秒前*
雪「っ__!」バッ
カ「うおっ!?」
あれ、私……
カ「目が……覚めたか。」
雪「カラ……松。」
目が覚めるとそこは見慣れたリビングだった。
ああ、ここ、松野家のリビングだ。
私はどうやら床で寝ていて、でも何故か枕はあって、
毛布もかけられていた。
カ「……どっか痛いとか、ないか?」
雪「え?何で?」
カ「雪ちゃん、ライブが終わって襲われたんだろ?」
雪「あ……」
そういえば、襲われたんだっけ、黒の奴らに。
ライブが終わってくたくたで、それでミスっちゃって、
絶体絶命だったときに__
チョロ松が助けに来てくれて……で、カラ松もおそ松兄さんも
雪「……だんだん思い出してきたわ。」
カ「…そうか。……」
安息したのかカラ松は胸に手をあてて、息を吐いた。
雪「助けに来てくれたんだよね?……ありがとう。」
カ「いや、雪ちゃん……でも、遅かった……」
雪「え?」
カラ松は目線を落としょんぼりする。
雪は首を傾けた。
カ「……ちょっとごめんな」
雪「!」
カラ松はするっと雪の毛布をあげ、服を上に捲し上げた。
初めて会った時のよりも、大きく新しい痣ができている。
雪「あ、……」
カ「チョロ松が来たときには遅く、腹を殴られてたって……」
どうやらチョロ松が皆に説明し、遅くてごめん。と私に向かって何度も謝っていたらしい。
雪「寝てる間にそんなこと話してたんだ。」
カ「そんなことなんかじゃない!……ああ本当にムカつく。」
カラ松は痣を撫でた。
カ「LINNEが遅いことにきづけていれば……」
雪「そんな、私助けに来てくれただけでも嬉しいのに…」
カ「っでも」
雪「……あんなに私のために怒ってくれて嬉しかった」
カ「っ…。」
にこりと雪は微笑んだ。
大丈夫大丈夫、と雪はカラ松を撫でる。
雪「あそこまで私のために怒ってくれたの、皆が初めてだよ」
カ「そう……なのか?」
雪「うん、師匠は真顔ばっかだから怒ってるかわかんないし」
カ「…そうなのか」
うん、と返事をし、私は自分の髪の毛をといた。
雪「……私が寝てから何かあったの?」
カ「ん、…いや、特に大きいことはないさ。」
雪「そっか。なら良かった」
にっこりと微笑む雪につられてカラ松も微笑んだ。
実は黒の奴の骨粉砕したけど、と溢しながら。
雪「今何か言った?」
カ「いや」