第4章 兄ちゃん我慢は無理です
__何で…顔をみちゃダメなんだろう?
まぁいいか。
私はうん、と返事をしておそ松兄さんの胸板に顔を預けた。
優しくていい人なおそ松兄さんは何を言うのだろう?
お「…今からいうことは独り言だと思って、聞いててくれ」
ぽんぽん、と背中をたたいてくる。
お「……俺さ、雪とこうやって……行った場所が場所だけど、
なんだかデートっぽくって嬉しかった。楽しかった。
__女の子と手をつないでみたかったんだよね。」
……前言撤回、兄さんは変人だ。
お「それで恋人のフリして、しかも雪ちゃんとできるなんて
夢みたいだなって思ってたんだ。で、さっき雪ちゃんが
襲われかけてた時
__すっげーブチ切れた。殺してやりたいくらいね」
お「__俺わかったんだ。俺さ……本気で、雪ちゃんのこと好きだわ」
え?
今、兄さんなんて
お「さすがに早いよなぁ、俺でも思う……でも無理、言わずに押し込めとくの、俺苦手だし」
どうしよう、その気持ちがわからない。
雪「それって___」
お「……友達としてじゃなく、一人の女の子として好き」
おそ松はもう一度雪を抱き締め直す。
雪「……ごめん、その、好きがよくわからない」
お「わかってる」
雪「え?」
思わず顔をあげてしまった。
____おそ松の顔は真っ赤だった。
お「っ…バカ、みんなっつったろ!」
雪「っあ、ご、ごめん」
お「あぁ、もう…可愛いなバカ」
雪「っ__」
おそ松は雪の首もとに顔をうずくめた、こしょばがゆい。
雪「おそ松兄さ__」
お「……今だけ、呼び捨てで呼んでくんない?」
雪「!」
六つ子で一番上の長男、おそ松兄さんが甘えてくれている……何だか頼ってもらえて嬉しい。
雪「……おそ松」
お「ん、いい匂いする」
雪「……私も流石にこういう場でのムードくらいはわかるんだけど」
お「え、何?好きだからそういってくれるの?」
雪「なっ!?……まあ本当のところは知らないけど、さ」
お「雪ちゃん」
雪「何?」
お「俺の言う、好きって意味今はわかんなくていい……ただ」
雪「ただ?」
お「雪に受け止めてもらうまで、俺さ雪に惚れられるように
___」