第4章 兄ちゃん我慢は無理です
足にかかと落としをくらったホストは片足をあげながら跳ねていた
ア「いってぇ〜!てめぇ邪魔すんなよ!」
お「残念俺のなんだわ。手を出すお前が悪ィだろ」
雪はふとみたおそ松の額に血管が浮き出ているのに気づいた
__こんなに怒ってくれるの?
ア「?彼女は風俗嬢でしょ、君大学生?あ〜拗らせてんのか?」
ニヤニヤするホストを圧するようにおそ松は彼を睨みつけた
お「……失せろ」
ア「!っはは、わかった……出直すよ」
尚も笑みを浮かべたまま彼は去っていった。それを見届けたおそ松は振り返らずに雪の手に触れた
お「大丈夫?」
雪「っ……うん」
お「……行こう」
おそ松は雪の返事をきかずに繋いだ手はそのまま店を後にした
…
暫く歩き、繁華街を抜けた2人は公園のベンチに座った
気づけば夜にさしかかり辺りは真っ暗に染まっている
微妙に距離を置いて座るものの2人の手は繋いだままだった
お「……カッコ悪いよな俺」
雪「え?」
突然彼は口を開けた、諦めたように笑っている
お「守るっていったのに……俺」
雪「そんなことない!だってさっき……でも私も不用心だった、ごめん」
心配そうに彼は私を見つめる、これ以上おそ松に心配してほしくなくて微笑んだ
お「……」
雪「!」
繋がれた手をひかれ、気づけばおそ松の胸の中にいた
……暖かい
雪「おそ松、兄さん?」
お「いや今戻す?」
雪「ごめん、なんか安心しちゃって」
お「いや、いいけどさ〜」
さっきと違って優しく頭を撫でられた
お「雪ちゃん」
雪「なに?」
雪がゆっくり顔をあげるとおそ松は微笑んだ
お「我慢しなくてもいいんだよ?」
雪「っ!」
雪の目から涙がこぼれ落ちた
雪「も…我慢してたのに……やめてよ…うぅ…」
お「怖かったよな、本当ごめんな」
雪「ううん」
ぱっと顔をあげる
お「へ?」
雪「おそ松は何も悪くない!……私が油断したから、それに恥ずかしいからって頼っちゃった私が……!」
お「も〜!」
おそ松はさらに私を抱きしめた
雪「おそ松兄さ……」
お「抱え込まないの!これでも俺、男だよ?もっと頼っていいからそんなこと言わないの〜」
雪「〜!」
優しくされたら余計泣きそうだ、何度も彼は優しく撫でてくれた
落ち着いてきた頃だった
お「……なぁ雪ちゃん、聞いてくれる?」
雪「?」