第4章 兄ちゃん我慢は無理です
ア「それにしても珍し〜君みたいな子がこんなところにいるなんて何で?」
雪「っ……」
ダメだ下手したら花岡理恵のこともバレてしまう、雪は深呼吸をしてこれからする映画のヒロインになりきった
雪「『私、その……まだ新人で備品の補充しに来たんですよ』」
ア「!成程、ならおかしくないね」
彼はにっこり微笑んで、でも……と顔を近づけた
ア「君そんな美しい顔なのに裏の世界にきたんだ」
雪「『褒めてくれてありがとう。けど急いでるから……またねお兄さん』」
そういいその場を離れようとしたが身を引き寄せられてしまった
雪「?、今の話聞いてた__」
雪の言葉を遮って彼は雪の耳元にそっと甘い声で囁いた
ア「今から僕と、ホテルに行かない?」
雪「__!?」
身の毛がよだち思わず雪は彼から離れた。当の彼はくすくすと笑っている。
ア「そんな怖がらなくていいのに」
なんともなさそうな顔、慣れているのだろうか
雪「ええと……私もうこの後買われてて……」
ア「睨まなくてもいいだろ、僕これでも名が通ってるし大丈夫。連絡してあげるし番号教えて?」
一週間は裏の世界に来ていないとはいえこんな人がいたとは……ともあれ、早く逃げなければ
雪「っ……次の時間の人、きっと貴方より偉い人だからやめておいた方がいいと思うけど」
はぁとため息をつき彼は雪の耳を舐めた
雪「っ!?」
ア「……あんまり逆らうのなら彼を殺すよ」
雪「え……?」
血の気が引いた感覚、今の言葉の意味って__!
ア「大丈夫優しくしてあげるから、このことは誰にもばらさないし僕と一緒に……」
雪「貴方は、何を知って……!」
質問を無視して彼はそっと手を絡ませてきた
ア「青ざめなくてもいいだろ、僕に身を任せればいい」
雪「……?っな、やめっ……!」
彼は雪の唇を奪おうと顔を近づけた
雪「嫌、離しっ……!(どうしよう、どうしよう!)」
意外と屈強で抜け出そうにも動けない
この人どう考えても普通のホストじゃない、もしかして黒の……!
怖くなって思わず彼の名前を言ってしまった
雪「助けて……おそ松!」
瞬間
ア「っ!?」
目の前にいたホストは後ろにさがり私の上を睨んでいた
後ろを振り向くと、眉間に皺を寄せたさっきとはまるで違う彼がいた
お「__俺の女に何、手だしてんの?」
雪「おそ松……!」