第17章 僕は辛いですか
’’野球ボール’’の絵文字、’’14’’のリストバンド。
彼女は……もしかしてまだ十四松のことが好きなんじゃ……
いや今はそうじゃなくても、今日十四松から聞いた話では彼女は十四松に救ってもらってる。自殺未遂をしかけた彼女が今目の前でこんなに元気になるほど。
一度田舎に帰ってもう十四松が好きな人じゃなくなっているとしても、大切な人には変わりないと思う。
……こんなに十四松への思いが現れてるのだから。
雪「……」
「?どうしたんですか、花さん」
十四松の彼女ってことだし……そうだ
雪「’’とかの’’って呼んでいい?」
十カ「……とかの?」
十四松の彼女でとかの……流石にダメかな
雪はぽかんとする彼女に口をキュッと結んだ
数秒後
十カ「とってもすてき!そう呼んでください!」
雪「……!よかった、よろしくね」
彼女……十カノはまた目を輝かせてそう言ってくれた。
雪は喜んでくれたのがわかりホッとする
雪「ふふ……そろそろ帰らないと家族に心配されるから」
思わぬ所で盛り上がったとはいえ、おそ松たちになにも言わずに出てきてしまった。そろそろ帰らないと心配されてしまう。
十カノはハッとした顔になり
十カ「!そ、そうだよね、続きは折角交換したんですしLINNEで話しましょう後ほど2人でお茶でも……!」
雪「そうだね、じゃあまたね十カノさん」
十カ「うん!また……!」
十カノさんはにっこり笑い私に手を振ってくれた。
雪も微笑み手を振り走り出した。
彼女の笑顔と消えかけた夕陽があまりにも綺麗だった。
…
がしゃん
と勢いよく音を立て玄関の扉が開けそのままの勢いでフローリングに倒れ込んだ。
雪「つっ……かれたぁ……!」
荒く呼吸が乱れて、咳も出る。
流石に全速力で走ったらしんどすぎた……案外遠かった……
深い呼吸をしたところで目の前に見慣れたスリッパがみえ、上を見た。
十「……雪ちゃん?」
雪「あー……あはは、ただいま十四松……」
相当驚いた顔。まあそらそうか、突然どっかいった上にこんなに息を荒らげてるし
十四松は焦りすぎて汗が出まくっている。しゃがんでとりあえずと言わんばかりに撫でてくれた。
雪「……?」
十「だっ大丈夫……?何してたの?」
雪「えぇっと……ランニング……」
十「そっ、そっかぁ……お疲れ様……」