第17章 僕は辛いですか
片肘をテーブルに付きながら、
運ばれてきていたアイスラテをストローでくるくるかき混ぜる
白いミルクがコーヒーと混ざり合い絡み合った
雪「……そうだなぁ、あの人どうしてんだろう」
十「?あの人って誰???」
雪「……大切な人、私の……恩人、そして師匠」
私にとって昔 大切な人 と言えば師匠しか出てこない。
……いやそもそも師匠しかいない?
雪「簡単に言えば私を拾ってくれて、育ててくれて……強くしてくれて、誰よりも世間的でいう 親 だと思えた人かな」
十「へぇ〜!……凄い いい人なんだね!」
雪「うん、とっても大切。」
師匠になら何言われても多分受け入れるし、何だって言う通りにするだろう
だから……今だって命を捨てて探してるわけだけど
十「俺もっと知りたい!その師匠さん!どんな人?」
雪「……そうだな、これ人に言うの初めてだけど、聞きたい?」
十「聞きたい!」
雪は十四松に師匠に拾われてから、沢山あった出来事を十四松に話した
十四松はずっと真剣に聞いてくれて目をキラキラさせたり、ウルウルさせたりしていた
…
雪「__それでその時も師匠が相手を倒してくれて……」
十「師匠って人スッゲェつえーーー!」
雪「でしょ?本当あの人負け知らずだろってくらい強かったんだから!」
自分も共感してくれる人物が増えて嬉しくなり興奮する
十四松は飽きずにずっと聞いてくれた。
とても……優しい。
雪「__ふふ…!
ってごめんごめん十四松、ついつい熱入っちゃって……」
十「大丈夫!それに雪ちゃんがそんなに大切だと思うなんて凄いから!」
雪「大切……うん、そうだね」
十四松はそんなこと言ってないのに、何故か
「あなたはそれ以外には無情だ。薄情だ。」
と誰かに言われたような気がした
ズキン
と胸が音を立ててひびが生まれる
話を終わらせようと雪は目を逸らした
雪「お互いさ、その……会えたらいいね。
__大切な人に」
十「え?」
雪「会いたいと思わないの?……その女の子にさ」
十「……んー」
少し悩ましげにする彼が不思議だった
大切な人なのに、愛してる人なのに。
何故会いたいとは思わないのか
十「……その子も」
雪「え?」
十「その子も、きっと僕みたいに、雪ちゃんみたいに大事な大切な人が出来てると思う。僕みたいに__」