第16章 機転
鈍痛と何かが入り交じる途中
__1人の女性がみえた
雪「あな……たは」
その女性はこちらに目を合わそうとしない
……なんだか悔やんでいるような
そんな気がする
?「ごめ……んなさい」
彼女は私をかわいそうなものを見る目で
見てきた
何故そんなに顔をするの?
なんで謝るの?
雪「誰……なんで……」
だが雪に鈍痛と気持ち悪さが
体を襲い、喋る力がでない
女性はぽつりと言葉を漏らした
?「貴方の……皆の幸せの為に……
__こうするしかないのよ」
雪「幸……せ?」
?「無理させてごめんなさい」
女性は目を瞑りこちらに向かって
手を伸ばしてきた
雪「っがあ……?!」
鋭い痛みが頭を突き抜ける
……もはや叫ぶことすらままならない
あの女性が手を伸ばしてからか?
女性は尚も手を伸ばし続ける
時折苦しそうな表情をみせていた
我慢出来ずやめてと言おうとしたその時
ブツンッと何かが切れる音がした
頭が真っ白になる
女性の顔も姿もだんだんとその白さに薄れていく
……誰?本当に誰なの?
何故謝ったの?
__何をしたの?
その疑問も全部私まで
__全て真っ白い光に包まれて消えてしまった
?「……私はずっと祈ってるよ、
そうでしょ貴方……」
…
雪「ッは……?!」
記憶と視界が強制的に現実に戻された
先ほどの女性と暗闇まみれの世界は一体……
お「雪?」
カ「大丈夫か?!」
雪「……!」
鼓動がよく聞こえる
風の音も聴こえる
さっきまでの焦りと不安が嘘のように……
__冷静になれた
雪「……」
おそ松とカラ松は不安げな表情で
黒の組織の2人組は疑問と
そして私達を観察している
……起爆装置の時間はあと2分
だいぶ時間食ってしまったな
……でも
さっきまでのわたしの自己犠牲の考えは消えて
……新たな作戦が脳内に焼き付いている
……まるで私らしくないような
雪「……おそ松、カラ松」
お「?……雪もしかして……」
カ「……」
儚げで切なげな2人の表情に
私は胸の奥が震えるような感じを覚えた
……大丈夫、きっと上手くいく
雪「『……ありがとう、私本当はずっと
__殺したかったんだ』」
そうよ私、
目の色を殺して。
不敵な笑みを浮かべて。
私は……
新しい私になりきってみせた