第2章 私の隣
帰る場所がもつ安心感
手に入れた帰る場所は人の家
そしておまけに自分の部屋と二階
…元は皆が寝る部屋だったらしい。
雪「……有難いな」
けれど暖かさを知って少し欲が出た
雪「……もっと早く欲しかったな」
体に面する床に触れる
__冷たい裏道と違って温もりがあった
胸の真ん中のじんわりとした暖かさだ
雪「…もっと早くあったら、こんなに歪んでなかったのかな」
私はスパイになって……いや違うその前だ
捨てられ人として扱ってもらえなかったあの頃からだ
その時に守ってくれた大切な人、もとい
__師匠に言われた、あの言葉で知ったのだから
あの頃のボロボロな私に師匠はこう言ってくれた
師「私が貴方を救おう。その悲しさを持ち人に優しくなるんだ。
私も……自分自身も」
誰にも必要とされなかった私にそう言ってくれた
私を必要としてくれたのだ
だから、だから死んだなんて信じない
雪「貴方を探すよ、必要だよ。だから__消えないで」
視界がぼやける。頬に何かつたう
どんな障害だって乗り越えてみせる。
だから、生きていて__師匠
暫く私は床を湿らせた
チ「__雪ちゃん!って寝てる?」
ガチャリと戸が開く
一瞬ビクリとしたがチョロ松くんの声にホッとする
雪「……チョロ松くん?ふふ起きてるよ__あ」
チ「__え?」
目の前の驚く顔を見る
ああそうか、さっきまで泣いてたから__
チョロ松兄さんは私の前へきて、慌てた様子でハンカチをだした
チ「な、大丈夫!?__あ、もしかして嫌になって……」
雪「あくびいっぱいしただけだよ〜驚きすぎ」
チ「あくびにしてはそんな……でもそれなら良かった」
チョロ松兄さんは涙を拭いてくれた
雪「!……ありがとう」
チ「いいよこれくらい!」
優しい顔をする彼になんとなく、安心感を持てた
途中、彼の手と自分の頬が当たった
雪「んっ」
チ「っうわあああ!?」
突然チョロ松は驚いて尻餅をついた
顔が真っ赤だ
雪「あはは急にどうしたの?」
チ「っええと……その」
チョロ松くんは挙動不審になってしまった
急に吃る彼に動揺を隠せないでいると彼が口を開いた
チ「こここ、こういうのっ、恥ずかっしくないっ?」
真っ赤な彼を見ながら少し考えてみたが
雪「…ごめん、わからない……や」
わからなかった