第11章 それは突然に
カ「お、お揃い?……」
突然のことに驚いてついていけない。
雪「……ははっもー、何驚いてんの?皆でお揃いにしようよ!これ」
そういい、雪は俺の小指のピンキーリングを指差し微笑んだ。
成程、そういうことか。
カ「……フッ、お守りってことか?」
雪「あたり」
カ「賛成だ」
にっこりと俺も微笑み返しブラザーたちのぶんのピンキーリングをとった
雪「?あ、サイズわかるんだ?」
カ「まあ、俺の大切なブラザー達だ。お易い御用だぜ。」
雪ににこりと微笑んで俺はそれをレジへ持っていった
雪「え」
カ「これ、一つずつ包んでくれ」
「かしこまりました」
雪「え!か、カラ松払うの!?」
カ「?、ああそうだが?」
雪「あ、ええとその、お金……」
カ「?……ああ、実は給料日というかお祝いというか……貰っていてな。せっかくだからみんなの為に使いたくてだな」
雪は嘘でしょと言いたそうな顔で俺を見てくる。
……まあ先々週までニートだったんだ。無理もないな。
雪「で、でもっ……良いの?せめて私のリング……」
カ「はははっ何だ?ボーナスを使いたいように使ってもいいだろう?」
それでも雪は申し訳なさそうにこちらを見てくる
カ「大丈夫だ、俺はブラザーだけでなく雪の為にもなるなら本望だ」
雪「っ……そっか」
優しく雪を撫でてやると雪は少しぎこちなさげだが、ありがと。と、微笑んでくれた。
カ(いつかもっと立派になって本当に雪の為に何かしてやらないとな……それまで好きは言えない。)
雪「……?カラ松?」
カ「……なんでもない、ブラザーたちが待っている。買い終わったら早く帰ろう」
雪「うん、寝ないうちに渡さないとね!」
そして、丁度店員さんの声ともに綺麗に包まれたピンキーリングを受け取り雪はそれを大事そうに抱きしめていた
カ「本当に可愛いな、雪は」
雪「?!、いきなり何!?」
ボシュッと音がしそうなくらい一瞬で雪が真っ赤に染まった
カ「……可愛いな、雪」
雪「も、やめろカラ松!」
騒ぎながらもふたりは店を後にし、帰路をたどって行った。
?「ああむかつくむかつくむかつく……理恵ちゃん……理恵ちゃんは___」
__雪はまだ、気づかなかった。
恨みと強すぎる愛がこもる目に。