第10章 俺のこと見てよ*
羽「綺麗……だ……」
雪「『っ……ナオさん……!』」
気づけばベッドシーンになっていた
羽場さんは狼みたいに私を襲う
___もちろん演技だけど
さっきまで獣のようなおそ松兄さんに見えたのに今はもう羽場さんの役のナオにしか見えない
雪「『っ!』」ビクッ
羽「っ……ハナっ…!」
羽場さんの顔がぐっと迫ってくる
何事かと思いビクリと体を震わせたが違う
キスシーンだ__
雪「あ……」
羽「っ……」
演技が解けてしまい戻す
何でだろ、いつもならこれくらい余裕なのに
キス……だけで
…………だけ?
ハッとする、もしかして私、兄さん達とのキスや、……行為が
大切になったから、
__他人と軽くこんな行為をするのが悲しくなった?
雪は悲しみに気づいてしまった自分を哀れに感じた
羽「……?」
突然、花岡さんが止まってしまった
キスシーンだから無理矢理気を戻させてもいいんだけど……
大物のその上、頂点の人だからなんとも出来ない
それまでは色気があって吸い込まれそうな演技だったのに
今では何故か……
雪「……っ…………」
演技を保っていても、悲しげな顔だ
とりあえず、アドリブで名前を呼びかけてみた
羽「……ハ、……ナ_?」
雪「『……ナオ……さん』」
花岡さんもアドリブで返してきたのでそれにノる
アドリブ返しを待つ、すると
雪「……何だか、切ない……や……」
羽「っ……!!」
たまらなくなって深くキスをした
雪「っん……」
キスという名の演技をしながら、
……今のが本当にアドリブか、__演技なのか
頭の隅で考えながら羽場は演技に没頭した
カンッ
監督「カットー!!」
雪の頭に監督の声が響いた
雪「っあ……」
羽「!」
パッと羽場さんは離れる
私もさっと起き上がって羽場さんに軽く微笑んだ
雪「『すいません、止まっちゃいましたよね私……』」
羽「あ、いやいや……」
苦笑いな雪に羽場は元気づけようと必死になる
羽「ほ、本当、花岡さんの演技凄くて僕1度思い切りキスしちゃいましたし……えっとその……」
雪「……」ポカーン
羽「あ、ええっと……」
雪「『……ふふっ』」
羽「えっ?」
雪「『必死になんなくても……ふふふ』」
羽「っ!?」ドキッ