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【おそ松さん】僕らが愛したのは君だけで

第9章 責任とって従って。*


意味がわからなかった。いや、何も考えずにいつものように洗面所に入ったのは悪かった。兄弟や家族だけじゃないしもうこの歳になると母さんだって若干気まずいというのに。同年代どころか普通会えないような、女優と同居しているんだってのに。まさか風呂からあがるのに出くわすどころか真っ赤にのぼせて倒れる寸前だとは思わないだろ。慌てて抱きとめた自分が信じられないくらいだ。

でも何より、素っ裸なその……直に触れる艶やかな身体に、風呂上がりで滴る水滴の行く先、濡れ髪が垂れる胸元、胸、胸───

気づいたら雪が数秒失っていた意識を取り戻して、彼女が離れていたが自分が何を言ったかもはや覚えていない。さっきの出来事を整理するので必死だった。

雪「あの……ごめん一松。ジャージ汚しちゃって」

雪の声に我に返るとさっきの出来事は無かったかのように、彼女は勝手に借りてったジャージの件を話し出した。正直別にどうでもよいのだが。

雪「新しいの買ってくるし、どこのかだけ教えてくれないかな。それか違うので良かったら明日買いに行ってくるよ」
一「あー……」

俺はいつも着古した伸びたジャージが好きで、それを知っている兄さんや弟たちからいつもお下がりをもらっていた。だから新品を渡されても正直いらなかった。適当にもういいと言いかけたがふと、いいことを思いついてしまった。やっとタオルを巻き始めた遅すぎるし無知な彼女に笑みがこぼれる。

一「いらない」
雪「えっでも……」
一「そのかわりに──ヒヒッ、今日の夜、俺の言うこと聞いてよ」

悪い笑みを浮かべた一松に対し、雪はそんなことで良いのかと言わんばかりにキョトンとしながら首を傾げた。

雪「……命令?」
一「そ、命令。責任とってくれるんでしょ?嫌ならいいけど、俺みたいなゴミの言うこと聞きたくないに決まってるよね、ヒヒッ」

いつも通りのネガティブを無視して雪は顔色変えずに答えた。

雪「それは知らないけど、私の気が収まらないから一松がそれがいいなら私はそれでいいよ」
一「ん、成立」

そうしてだんだん我に返ってきた雪は、特に裸を見られたことでどうも無いが、倫理観的に彼にそろそろ出ていってもらうことにした。当然了承した彼は出ていく前にあ、と思い出したように振り返る。

一「シk、チョロ松が飯出来てるって」
雪「……?あぁうん、すぐ行くって言っといて」
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