第8章 それは青春のような*
雪「それでも、……私のこと、好きって思ってくれるの?」
十「っ…うんっ、うんっ」
おふざけ無しで一生懸命首をふる彼が新鮮でちょっと可愛い。
雪「そっか、……ねぇ十四松、もしもさ。」
十「うんっ?」
雪「__そのお願い、聞いたら、お家、帰れる?///」
十「っ!!__本当?」
我ながら恥ずかしい発言してるなあと思う。
こんなにキスっていろんな人にしちゃっていいものなのだろうか
__まあ職業柄、今更なんだけども。
雪「…ふぅ、お願い聞いたら、帰れる?」
十「……うんっ!!…いーの?」
雪「そこまで真っ赤になって言われたら断れないよ。
__じゃあ、そのまま、座ってて?」
橋の下、コンクリートの台の上で座っている私達。
ゆっくりと私は立ち上がって十四松の脚にまたがって座った。
自身の心臓が凄いくらい鳴る。
薄暗くて十四松の顔がほんの少し見える程度。
橋の上の車の音が煩いくらいに響いた。
雪「目、瞑ってて、暗いけど……恥ずかしいから。///」
十「…んん。///」
昨日の夜あんだけ積極的だった私なのに、今は十四松と同じくらい声が震えてる、きっと同じくらい、顔も赤いんだろうな。
雪「じゃあ、する……ね…?」
自分の背じゃ十四松の唇には届かなくて、
十四松の黄色いユニフォームを掴んで、ぐっと近づけた。
雪「も、……少し……ん…」
あともう少し。
届かないことに気づいた十四松はゆっくり顔を下げてくれた。
下がってきた十四松の頬に片手を添えて、
__キスをした。
雪「(ん……__)」
十「っ……!」
ふにっと少し柔らかい。
毎日の素振りなどで鍛えられた十四松の固い腕からは
考えられない柔らかいところ。
ゆっくりと私達は鼻で息をする。
このキスは今までのキスよりも、
____甘くて、酸っぱい感じがした。
雪「(何だか離れたくない……このまま時間が止まって欲しい)」
そう思うほどこのキスは幸せなものだった。
十「__ぷはっ……」
雪「__はぁ………苦しかった?」
そう聞いても返答無くただただ見つめられた。
15秒ほど見つめあって、沈黙が少し怖くなった頃、
十「……もっかいしたいな…」
雪「…!」
震える声で十四松が言った。