第21章 眠る
目を開いてみると、最近見慣れた天井が見えた。
「怜ちゃんっ!」
そう声が聞こえて、そちらを見ればそこにいたのは多々良。
多々良「良かった・・・。本当に良かった・・・!!」
「怜っ!」
女性の声がする。これはきっと、母の声だ。
母「怜、猿比古くんから聞いたわ。・・・さすが私達の子。人助けは悪い事じゃないわ。でも、それで自分の身体を危険に晒してどうするのよっ!!場所が悪ければ死んでたのよ!」
怜「・・・生きてるわ。」
母「結果はね。・・・おかえり、怜。」
怜「ただいま。・・・多々良。」
多々良「セプター4には葦中学園の生徒って事にしてあるから。あ、カツラは被せてたから大丈夫だよ。伏見は仕事中でいないけど、終わったらここに来るって。」
怜「それも、そうだけど。」
多々良「ん?・・・あぁ、あれから怜ちゃんは二日寝てたよ!」
怜「そうじゃなくて。・・・吠舞羅にどうして戻ってないの?」
多々良「怜ちゃんに怪我させたのは、俺のせいでもあるから。」
怜「・・・罪悪感から?」
多々良「それだけじゃないけど・・怜ちゃんから、離れちゃいけない気がしたんだ。あ、でも草薙さんには会ったよ。アンナにも。・・・それで、ちゃんと伝えたんだ。」
吠舞羅には戻らないって。
怜「・・・!」
多々良「・・・キングが無理したのは、俺のせいだし。」
そう言う十束に、デコピンする怜。
多々良「いたっ。」
怜「全てに責任を負う必要はない。」
凛とした表情でそう伝える怜。
怜「人間の身体は1つだけ。全て出来るなんてあり得ない。」
多々良「・・・。」
怜「1人で出来る事なんて限られてるんだから、全てに責任を負う必要はない。いい?」
多々良「・・・わかったよ。」