第20章 学園島
世理「伏見は一体何を考えているの・・・!!」
突然、学園島に走って行ってしまった伏見。
あまりにも突然だったので、間に合わなかったのだ。
霧が晴れて、誰かがこちらに歩いてくるのが見えた。
世理「室長!・・・え・・。」
宗像礼司の後ろにいたのは、殺害されたと思われていた十束多々良と、先ほど学園島に走って行った伏見。伏見が抱えているのは顔色の悪い女性。
世理「室ちょ・・・え?」
困惑する副長。
宗像「どうやら逃げ遅れた生徒がいたみたいで、巻き込まれたようです。」
多々良「・・・俺を庇って、撃たれたんだ。」
確かに女性は葦中学園の制服を着ている。・・・逃げ遅れた生徒がいたことに気付きもしなかった。
世理「すぐに救急車の手配をします。・・・室長、彼は。」
室長「・・・“彼女”が近くにいたようですね。」
平然と言ってのける室長。
世理「彼女とは・・まさか・・・。」
室長「えぇ。どうやら誕生しているようですね。」
十束はジッと静かにしていた。
余計な事を話せば、きっと・・・。