第21章 眠る
ボーッと窓を見つめる。
怜。
呼ばれているような気がする。
多々良「怜ちゃん?」
怜「・・・行かなきゃ。」
多々良「行くって・・・どこに・・?」
怜「御柱タワー。」
いそいそと怜はベッドから降りると着替え始める。
多々良「こら怜ちゃん!人がいるのに着替え始めない!!」
怜「減る物は何もないのに?」
多々良「何かが確実に失われるかな。」
怜が着替え終わったので、二人は家を出る。
怜は幼い姿で、十束に合わせて金髪のカツラを被っている。十束はというと変装も何もしていない。傍からみれば立派な離れた兄妹だ。
多々良「タワーに行ってどうするの?」
怜「?何も決めてないよ??呼ばれただけだから。」
タワーに行ってみれば、國常路大覚はそこにはいなかった。
怜「・・・ウサギ。」
そうポツリと怜が呟けば現れるウサギ。
ウサギ1「怜お嬢様、御前から伝言がございます。」
怜「・・・。」
ウサギ2「このタワーはお前に任せる、との事です。」
怜「・・・ハッ・・。で?その御前は?」
ウサギ1「お教えする事は出来ません。」
怜「最期は見せてもくれないってわけね。」
怜の言葉にハッと怜を見る多々良。
怜「・・・自分で呼んでおいて、随分な態度。」
呆れたように笑う怜。
怜「・・・御前に伝えて。“猫でも学習はする”とね。」
ウサギ2「?・・・かしこまりました。」
多々良「・・・ねぇ、怜。さっきの、照れ隠し?」
怜「・・・何のこと?」
猫だって、誰かを見て育つ。親猫かもしれないし人間かもしれない。けれど、その物の行動を見て自分も真似をする事もある。
つまりは、そういう事なんだよね?怜。