第20章 学園島
ものすごい大きな爆発音がして、そっちへ懸命に走る。
きっと、そこにいるはずだ。だって、キングはそういう人だから。
多々良「キングっ!!!!」
キングは、そこにいた。
尊「・・・十束・・?」
多々良「キング!!」
宗像「・・・!」
尊「・・・生きてたのか。」
多々良「たまたま、助けてくれた人がいたんだ。・・・キングの方が辛そうだよ?」
尊の上には今にも落ちそうなダモクレスの剣。
尊「・・・そうだな。」
多々良「・・・ごめんねキング。俺は・・。」
尊「何も言うな。・・・生きてただけで、十分だ。」
多々良「・・・そんな、晴れ晴れしい顔で言わないでよキング・・何も言えなくなるじゃん・・。」
十束の目尻に涙が溜まる。
尊「・・・悪ぃな宗像。貧乏くじひかせちまって。」
宗像「・・・そう思うなら、そのような顔をしないでください。」
周防は両手を広げて空を見る。
多々良「!キング待って!!あの子なら・・・!!」
もう、遅かった。
飛び散る紅。
多々良「・・キ、ング・・。」
宗像が、周防を刺したのだ。
ダモクレスの剣は消え、周防尊は宗像に寄りかかる。
悪ぃアンナ。もう綺麗な紅は、見せてやれねぇ・・・。
そう呟いて、彼は息を引き取った。
多々良「・・・ごめん、キング。ごめん・・・っ!!」
溜まっていた涙が溢れだした。
怜は、ふわりとした感覚がしてふと目を開けた。
「怜っ!!」
怜「・・・ひこ・・?」
猿比古「怜っ!誰にやられた!!」
切羽詰まった顔をした猿比古がそこにはいた。
怜「・・・もう、いないよ・・。」
そう言って笑う怜。
怜が何処か遠くへ行ってしまいそうな感覚になった。