第20章 学園島
無色「・・・あ・・れ・・・?」
怜「頭が弱い子は嫌いじゃないわよ。言いなりにすればいいのだから。」
ツカツカと寄って来る怜。
無色「・・・バカめ!!!」
無色の王は怜と目線を合わせると、自身の魂を少女の身体から出す。
オイラの勝ちだ!!
しかし、残念ながらそれは叶わなかった。
怜の目の前に沢山の蝶が飛んできたのだ。
無色「・・これは・・・!!」
多々良「この子は君にはあげないよ。」
多々良の指先からは焔が出ている。
十束多々良の作り出した焔の蝶。
無色「チィッ!」
無色の王は先ほどまで入っていた少女の身体に再び戻る。
少女はニヤリと笑って、こちらを見た。
怜「・・・!」
パァンッと響いた銃声。
多々良「・・・いっててて・・・怜ちゃん・・?怜ちゃん!!」
無色の王が発砲した相手は十束多々良だった。
それに気付いた怜は咄嗟に十束多々良を庇ったのだ。
怜の脇腹からはドクドクと紅い血が流れている。
無色「あー・・・使用する本人の調子が悪ければ効かなくなるやつか。ま、お前は後でゆっくり赤と青の王を頂いてからにするさ。」
タタタッと無色の王は駆けて行った。
多々良「怜ちゃんっ!!しっかり!!」
怜「・・・ったいなぁ・・もう・・・。」
多々良「何で・・・何で庇ったんだぃ!?」
怜「・・・同じ痛み、嫌でしょ。」
多々良「!」
怜「・・・。」
怜は指を指す。
怜「・・・行って。」
多々良「!でも、今行ったら・・・!」
怜「行って。」
多々良「・・・絶対、戻って来るから。」
ソッと怜を木に寄りかけさせて、自分の上着を怜に被せると、多々良は走り出した。
怜「・・・痛い、なぁ・・。」
ひこ・・・。